何かを変えたかった。

暫くそんな日々が続いた。家でも練習して指の皮は固くなり始めてた。スモーク〜も弾けるようになってきたしコードも少しずつ憶えてきてコードチェンジはスムーズではなかったし間違った押さえ方、間違った練習法で効率の悪い練習だった。それは後に気づく事になる。暫くオカマっぽい親友の家でガシャガシャやっていたが少しは形になってきた。ベースの奴が言った。そろそろ練習スタジオに入ってみないか?スタジオ???俺は意味が解らなかったし練習スタジオがあるというのも知らなかった。本当に何も知らないクソガキだった。武蔵境に安い所があるとベースの奴が言い次の週末に2時間入る事になった、値段は凄い安かったと思う。1時間で1000円くらいだったかな。で、週末、ワクワクとドキドキとが入り交じった気持ちで皆で自転車でスタジオに向かった。そこに着くと何だか様子が変だ。ヤマハ子供音楽スクールと看板が出ていて子供が沢山出入りしていた。それでも中に入ってみるとそのスタジオ?には子供達が講師みたいな人と授業を受けていた。俺達は段々不安になり始めもう一人のギターの奴がベースの奴に言った。本当にここかよ。ベースの奴は兄貴に聞いたから間違いないと言ってる時だった。授業が終わり子供達が沢山出てきた、講師の人は不思議な顔しながら俺達にどうぞと言いそのスタジオ?教室のようなスタジオ?に入っていった。ドラムセットはあった、凄いボロかったけどね。アンプもあったがもちろん全てヤマハの製品でそれもボロかった。俺は使い方が解らず焦っているとベースの奴がセッティングしてくれた。でも何かが足りないマイクやスタンド、ミキサー等が無かった。それでも気持ちは高揚していたしボーカルなんて無くても良かった。ドラムの奴はフルセットで叩いた事など無い。とりあえずスネアとフロアタムでドンパンドンパンやる事にしていざ練習スタート。興奮した。エフェクターも持ってないから歪んではいなくてカラカラの音だったけど一応、演奏?にはなっている。すげー、俺はバンドをやってるんだ、実感とはこういう事の事を言うんだろう。音のバランスも悪かったし何だかよく解らないけど俺はジーンとしてた。バンドだよ、俺はバンドをやっていきたいと真剣に思ったしまだ全然へたくそだったけどこれだ!!と思った。あっという間に2時間が経った。やりたい事の半分も出来なかったがそれはそれで良かった。セッティングにも時間がかかり過ぎたし正味1時間くらいだったけど俺は感動してた。他の連中も同様にニコニコしてたし顔が赤くなっていた。初スタジオは終了したが俺達は無敵な気分だった。お互いを褒め合いもうバンドだよなとかまた入ろうとか色々と話した。武蔵境は何も無い所だったので自転車でギャーギャー言いながら田無のドラムの奴の家に向かいシュウェップスとサムタイムで乾杯をした。今、考えれば演奏になんてなってなかっただろうが俺達は興奮していた。レパートリーは1曲でしかもボーカル無しだったけど楽しかったし俺の中で何かが変わった。夏休みも終わりに差しかかっていたけど暑い夏だった。