サウンド。

俺が取り憑かれたように夢中になるのには幾つか理由がある。一つは単純に楽しいからでもう一つは自信が無いんだろう。誰かに録ってもらっても喧嘩ばかりだし無駄なエネルギーを使いたくない。自信が無いというのは例えば普通のTシャツとジーパンだけでライブは出来ない。格好をつけないとダメって事だな。ここにこれを使ってこうしたんだから大丈夫なはずと自分自身で納得させるとでも言うのかな。その結果、出来上がったサウンドがハイファイでもローファイでもどうでもいいだよね。これだけやったんだから大丈夫と思い込みたいだけでね。ラジカセで録ったっていいんだよ。納得出来ればね。俺はデジタルレコーディングを散々やってきた。デジタルテープからPC録音とね。何故、アナログに戻ったか。原点回帰でも何でも無く単に新しいと思ったからで懐古主義でもなんでもない。確かに昔の録音はオープンリールだったけど意識していなかった。それが当然で普通の事だったからね。でも、今は意識してオープンリールで録音してる訳でそれは意味が全く違う。要するに意識するかしないかで同じ事象でも全く違うという事。しかもマスターも10号の大きなテープだからね。新鮮さこそ俺には重要でその他はどうでもいい。今まで沢山の録音物をリリースしてきたけど今回ほど道のりが長く感じた録音物は過去に無い。とは言え全く大袈裟な音楽でもないし難しい音楽でもない。むしろその逆だよ。リリース前、俺自身がもの凄くドキドキしてる。こんなにドキドキするのは初めてかもしれない。