続き。

次の日、朝10時に溜まり場のオカマっぽい親友宅へ集合との事だったので10時ピッタリに行ったら既に全員集合してた。オカマっぽい親友はキンキンに冷えたシュエップスのパッションオレンジを前の日に買っておいてくれていたらしく俺に差し出した。美味い。マリンクラブもあったがあれは見た目だけで美味しくなかった。あれを飲むなら原宿でクレープとブルーハワイを飲んだ方がいい。ベースの親友が今日はどんなバンドにするか話し合おうと言ってきた。どんなバンドったってまだ俺はスモーク〜すら完全にマスターしていない。俺が好きな音楽はニューロマンティックとかハワードジョーンズとかだったし、あまりギターが必要な音楽ではなかった。オカマっぽい親友は邦楽やアイドル全般、特に松田聖子が好きだったが金を持っていてその月にリリースされる男性、女性問わずアイドルのレコードを買っていた。俺は金が無かったので吉川晃司だけはそいつに録音してもらっていたが他の洋楽は貸しレコード屋や貸しテープ屋で借りたりしていた。俺のステレオは古くてレコードは聴けるがテープが聴けないし録音出来なかったので貸しテープ屋に行く事が多かった。凄い安かったしね。もう一人のギターの奴はボウイがやりたいようだったしベースの奴はビートルズだろう。俺はまとまるはずないと思っていたが暫くベースの奴の話を聞く事にした。俺はビートルズは好きだけどあまりやりたくない。意外だった。ゆくゆくはオリジナルをやるべきだと思っている。オリジナル?????曲って譜面を読めなきゃつくれないんじゃないの?俺は困惑した。だけどその時期じゃないから暫くはコピーをやっていこうとそいつは付け加えたがスモーク〜以外は何をやるかは提示しなかった。もう一人のギターの奴はボーカルは誰がやるんだよと言ってきた。俺は歌なんてとても無理なので俺はやりたくなかった、吉川晃司とかRCで清志郎が歌いながらギターを弾くのはカッコイイとは思ってたが俺にはとても無理だと思っていた。するとベースの奴が俺が歌うと言ったので内心、ほっとしたがゆくゆくは大槻にも歌ってもらいたいと言ってきた。俺は無理だよ、ギターだって弾けないのに歌なんて歌えないよと言うとそいつは大丈夫だよ、出来る出来ると軽く言いやがった。まあ、先の先の事だから気が変わるかもしれないしなと思ってそれ以上は何も言わなかった。俺はとりあえずスモーク〜を演奏出来るようにしようと言った。皆、静かにうなずいた。灰皿は山盛りになっていてシュウェップスとマリンクラブの空き瓶がテーブルに沢山転がっていた。じゃあ、練習するかとベースの奴が言い始めスモーク〜を演奏し始めた。オカマっぽい親友は自作の段ボールのドラムセットというより丸く切った段ボールを二つ作っていてそれをドンパンドンパンと叩いていた。俺以外は演奏になっていたがもう一人のギターの奴とベースの奴はすげー良くなってるよ、もう一息だなと言ってくれたが完全に俺が足を引っ張っている。サビのコードチェンジが上手く出来ない、5度コードをマスターしなければ。延々とガシャガシャやってたらもう夕方だ。オカマっぽい親友の家は母親が早くに亡くなり父親も警察官という事もあり殆ど帰って来なかった。帰ってきてもあまり気にするような父親ではなかったしね。オカマっぽい親友が今日は全員、家に泊まりなよと言ってきたので全員、速攻で家に帰り泊まる支度をして戻ってきた。オカマっぽい親友は家のやりくりを全て任されていたので金を沢山持っていた。全員で田無のデニーズに行って夕飯を済ましてオカマっぽい親友の邦楽、アイドルコレクションに俺以外の親友はビビっていた。松田聖子を聴いたり吉川晃司を聴いたりもう一人のギターの奴のリクエストでボウイを聴いたりしてた。何か物足りないなとベースの奴がいい始めて酒を飲もうという事になり近くの酒屋で俺とオカマっぽい親友は顔がバレてるのでベースの奴が買ってきた。コーラを沢山とサントリーレッドと樹氷だかトライアングルだったかな?サントリーレッドはそのまま飲むとピリピリしてカーッとなった。クソガキが酒盛りして話す事なんて決まってる。女子の話だ。もう一人のギターの奴は学年でトップ3に入るくらい可愛い女子と付き合っていた。ベースの奴はもの凄くモテていた、学年、いや学校の中で一番モテていただろう。俺は今ではこんなだが自分で言うのも恥ずかしいがなかなか可愛らしかった。学校では大した事無かったが他校の女子から電話が来たり学校に来たりするぐらいだった。これが俺のピークだったのだろう。誰が好きかとかあいつはすぐヤラセてくれるとか男なんてそんなもんだ。明け方まで飲んで俺達は雑魚寝して昼過ぎに起きたらオカマっぽい親友は既に起きていて飯を作っていた。3人でシャワーを浴びて、作ってくれた飯を食べてその後はどうするかとダラダラしていたが自転車で吉祥寺に行く事になった。楽器屋もあるし井の頭公園もあるからね。俺達は自転車でギャーギャー言いながら吉祥寺へ向かった。