1個飛ばしてました。三話目です。

親友から貰った46分テープをアイワのダブルカセットで早速聴いてみると何だこりゃヘビメタじゃん。一部の同級生には熱心なヘビメタファンがいたし流行ってもいたから存在は知っていたが嫌いだった。俺はポパイとか読んでるようなクソガキだったしバンドってもっとお洒落なもんだと思っていた。パンクの話は長くなるしもっとこの後に出てくるので書かないけどヘビメタ!!しかも古臭いヘビメタを皆、こんな曲を練習するのか?我慢して聴いてみた。46分間聴きましたよ。何かがおかしい、俺はコードをガーンと弾いたりアクションする人がリードギターだとずっと思っていた。単音なんて頭は全然無かったし弾けるはずがない。ピロピロ弾く人がリードギターだという事をここで知り愕然とする。俺がやりたいのはリズムギターで当時はサイドギターって言ってたかな。それでも全くピンっとこないスモークオンザウォーターを延々と聴いていた。何をどこから手をつけていいか全く解らない。タブ譜の存在を知るのもずっと後の事だ。コードもEとAとDしか知らないしかもローコードで押さえ方はメチャクチャだ。本当にどこから手をつけていいか解らなかったのでCDEFGABのバレーコードを練習するところから始めた。押さえられねー、5度コードもどうやればいいか解らない。押さえる場所が指の数より多いしそこでもう挫折かなと思ったが初めて見つけた好きな事をやめたくはない。Fが押さえれれば何とかなるだろうと思いスモークオンザウォーターは聴きつつとにかくFを必死になって押さえられるように練習した。何日も何日もね。それでも全然押さえられない。俺の手は女性と同じくらい小さいので本当に大変だった。親友はそれ以来、家に来て適当な合奏はするが教えてくれない。早いところなんとかしなければいけない。でも、まだスモークオンザウォーターすら出来ないしそれどころじゃないし耳コピーなんてやった事もないから本当に出来るか心配になった。スモークオンザウォーターにうんざりしてくると大好きな吉川晃司やデュランデュランを聴いたりしてこういうのだよなと思ったがあまりギターの音がガーンと出てない事に気づく。やっぱりスモーク〜かと思っているとがっくりしてきた。俺は洋服や吉祥寺や原宿や渋谷、代官山で遊ぶのも好きだったので別の友達と遊びに行く事が多かった。暫くすると親友が弾けるようになった?と聞いてきた。少々サボってた俺はドキッとしてまだ全然なんだよねと答えるしかなかった。パワーコードも知らないしイントロのリフもどうやって弾いたらいいのか解らない状態で未だにFも押さえきれずにいた。しかし、ある時Fのコードが雑ではあったが押さえられ濁ったF音が出た。俺はマジかよ!!F出来そうじゃんと思いそれからまたひたすらFの練習。半月経った頃に少しキレイなF音が出るようになってきた。調子に乗ってスーっとスライドさせ5フレットのA音を出してみた、Fより簡単だしキレイな音が出る!!BやCも同様だった。俺は嬉しくなってひたすら横にスライドさせ弾ける気になっていたがスモーク〜は放ったらかしだった。そろそろやらないとなと思いまた聴くようになったが全然解らない。5度コードも習得してないし今現在も5度コードの押さえ方はおかしい。しかし何度も聴いてるとこれはGのコードが鍵なんではなかろうかと気づき始めたもちろんコードチェンジはスムーズに出来る状態ではなかったが何となくイントロのジャッジャッジャッジャーを弾いてみたというより偶然なんだけどそれらしい雰囲気が出た!!嬉しい!!その部分だけ狂ったように弾いていた。無敵な気分。そこまでかかるのに3ヶ月はかかっていただろう。才能が無いんだろうけど教えてくれないし自分だけでやっていくには俺にはそれぐらいの時間がかかった。今じゃ考えられないけどね。オクターブで同じ音が出るという事に気づくのもそれから2年後の事だ。もう、夏になりかけたてた。俺なりに少しずつ着実に間違った押さえ方、練習法でも前進してきている、そんな実感を感じ始めてた。スモーク〜はまだまだ終わらない。そしてもう一人の男が現れる。