何かを変えたかった。

スモーク〜に取りかかり3ヶ月が過ぎた頃もう一人クラスにエレキギターを持ってる奴がいる事が解った。そいつはボウイ(日本の凄く流行った方)とか少しヘビメタも好きな奴で頭も良く性格も男らしくルックスも良いなかなか嫌みな奴で学年でトップ3に入るくらい可愛い女子と付き合っていた。そいつは嫌な奴ではなかったがまともに話したりする事は無かった。親友がそいつをバンドに入れようと言ってきた。俺はあまりよく知らないしなー、と言うとあいつはストラトと15Wのアンプを持っているからリードギターにしようと言ってきた。大槻はサイドギターをやりたいならいいじゃん。放課後そいつと話す事になったからと言って親友は席に戻った。俺の親友は押しが強く強引な奴だったが嫌みの無い不思議な奴だった。放課後、クソヤンキーに見つかると面倒なのでもう一人の俺の親友で主に邦楽が好き、というよりアイドルが好きなオカマっぽい親友がいてそいつの家で話をする事になった。もう一人の親友の家は母親を早くに亡くして父親が警察官だったので家にいる事が少なく溜まり場になっていた。そこでシュウェップスとサムタイムを買って3人で色々と話した。オカマっぽい親友はお菓子を出してくれたりして話に加わるでもなくそこにいた。親友がどれくらい弾けるの?と聞くとコードとちょっとしたリードくらいかなとそいつは答えた。ボウイが好きなの?親友は質問を続ける。タブ譜もあるしね。洋楽も好きだけどギターの練習にはボウイがやり易い。タブ譜????親友はタブ譜で練習してるの?そいつはそれくらいしか練習する方法知らないからと答えた。親友は練習方法とボウイが気に入らなかったらしいがボウイは誰でも聴いていた。もちろん俺も何となくは聴いていたがロックという感じは全くしなかったしちょっと気持ち悪かった。親友はビートルズは?と聞くとそいつは好きだと答えた。親友はビートルズをやるつもりなんだ!!俺はそこで気づく。遅すぎ。ストラト持ってるんでしょ?と俺が聞くとそいつはうん、白いストラトを持ってるよ。いいなー、もうストラトは買わない。他のギターを買おうと心に決めた。親友は俺達はバンドをやろうと思ってるんだけどリードギターで入らないか?とそいつに言った。そいつも俺達の事が気になっていたようで一瞬、間が空いたがやりたい、是非やらせてくれと言ってきた。3人が揃った、後はドラムだけだ。俺がフッとオカマっぽい親友を見ると何だか仲間に入りたそうな顔をしていたのでドラムやる?と聞くと鼓笛隊しかやった事がないけどやりたいと言ってきたので親友が今から速攻で皆、家に帰って楽器を持ってこようぜと言ってきた。やべー、スモーク〜まだ弾けないしコードも5度コードとか憶えきれてないしどうしようと思ったがとりあえずギターを取りに帰った。暑い、もの凄く暑い。オカマっぽい親友の家にはエアコンが数台あったが俺の家には無い。ケースも持っていなかったので裸のままママチャリのカゴに入れてオカマっぽい親友の家に戻った。俺が一番乗りだった。オカマっぽい親友は何故かバチ、まあ、スティックの事だけど当時はバチと呼んでいた。バチを持っていた。何で持ってるの?と聞くと洋がバンドやりたいって言い出した頃からドラムは見つからないだろうと思って。と言った。泣けたね。そうか、ありがとな。俺はそれくらいしか言えなかった、何故なら照れもあったが他の連中がやって来たからだ。4人集まりとりあえず親友はバイオリンベースでE音をボンボンと弾き始めた。オカマっぽい親友はそこらの物でドンタンと叩き始め俺は以前よりはマシになってきたストロークでE音をガシャガシャ弾いた。新しく入った奴はピカピカの白いストラトで簡単なフレーズやペンタトニックを弾いてた。何時間もずっと合奏してた。音楽性も無くバンド名も無く練習スタジオにも入った事が無いバンドらしきバンドが少しずつゆっくりと動き始めた。親友は言った。とりあえずスモーク〜をやろうぜ!!マジかよ。出来てねーよ。あの曲嫌いだよ。ビートルズの方がいいよ。とも思ったが新しいリードギターの奴もいいね!!とか言い出したので俺はコピーするしか道は無くなった。やってやろうじゃないかスモークオンザウォーター!!家に帰ってから特訓だ!!合奏も疲れてきたのでシュウェップスとサムタイムで一服。その後、また明日ここでという事で皆と別れた。家に帰り尻に火がついた俺はまたテープを聴く。イントロのリフの途中までしか出来なかった。そんなに甘いもんじゃないんだなー。甘い音楽があるとも知らずにいた中学校1年の夏だった。