ミクシィで

回想日記を書いていた事があってそれを幾つかここに載せようかと思っててね。下らないんだけど楽しんでもらえればなと思ってます。

何かを変えたかった。

今よりもずっと若い頃は何かを変えたいと思っていた。俺は子供の頃から何も取り柄が無く勉強が出来る訳でもなければ運動が得意だとか図画工作が得意とか何かが好きという事もなく遊んでばかりいて、それでも自分には何かがあるんじゃなかろうかと何となく思っていた。音楽の授業も好きではなかったし本当に何も無いクソガキだった。小6の時にテレビで見た音楽番組で何となくドラムがカッコイイと思い漠然とドラムがやりたいと思ったが思っただけでそのまま中学に入学する。中学生になると色々と流行の洋服やら音楽を聴いたりしていて単純にバンドをやりたいなと思うようになり学校の音楽室にあったガットギターでギターを始めるが何だか俺が思ってるようなのとは違うしそこに置いてあった教則本に書いてあるアポヤンドとかいう奏法も格好悪いし何より俺が弾きたいのはエレキギターで穴の空いた鈍くさいギターじゃなかった。地元のレコード屋に行くとエレキギターが何本か売っていたが中学生の俺には買える金額じゃなかった。そもそも生でエレキギターの音など聴いた事も無かったしアンプが必要だという事すら知らない本当に無知なクソガキだったがある時、転入生で見た目も格好が良く運動も得意な奴が俺のクラスにやってきた。最初はいけ好かない奴だなと思っていたが数日経ったら親友になっていた。まあ、ガキなんてそんなもんだ。初めてそいつの家に遊びに行った時に俺は衝撃を受けた。そいつが兄貴のなんだけどと言って15Wのアンプとグレコレスポールを持ってきて何気なく弾き始めた。初めて聴く生のエレキギターの音に俺はぶっ飛んで鳥肌が立ち、なによりもそいつが普通に弾いてるのに驚愕した。しかもビートルズのレコードをかけながらそれに合わせて弾いているのを目の当たりにしてこいつはプロか!!と真剣に思った。どうやって弾けるのか聞いてみるとレコードを聴いて何となく弾けるようになったと言いやがった。悔しいけど凄い。耳コピーなんて発想なんて無かったしこいつは絶対に凄い奴だと真剣に思った。そいつは俺に大槻も弾いてみる?と言ってきたが俺は何にも弾けないどころかエレキギターの音だって初めて聴いたし本物のエレキギターとアンプだって初めてだ。恐る恐るストラップを肩にかけEのコードだけは知っていたので鳴らしてみるとこれだ!!ガーンとアンプから鳴っているEのコードにゾクゾクして何回もEだけを弾いていた。そいつはニコニコしながらカッコイイじゃんとか褒めてくれたがお前の方が全然すげーし俺はこれしか知らないんだと言うとコードブックを俺に貸してくれて後はレコードとかテープで何回も聴いて練習すればすぐに弾けるようになるよと言った。マジかよ、それはお前だからだろと思ったがそいつが言うならそうなんだろうと信じてコードブックを借りていって家に帰った。だが俺はエレキギターを持っていなかったし金も当然無い。その夜、母親にエレキギターを買ってくれと懇願したがあっけなく却下されその夜からコードブックを眺める毎日を送るようになる。数日後、親友は俺はポールが好きだからベースをやりたいんだと言いベース????なんだそれと言うと要するにギターより低い音が出て弦が4本しかないギターだとそいつは教えてくれ数日後そいつはグレコのバイオリンベースを買って俺に弾いて見せてくれた。やっぱりこいつはすげー!!大槻もギターを買ってバンドをやろうぜと言ってきた!!バンドー!!やりてー、カッコイイ、モテるかなー。まあ、色々と妄想は膨らんだがとにかくバンドがやりたい、早くエレキギターを手に入れなければ。音楽の内容なんて何でも良かった。俺は普通にビートルズも好きだったがそれよりもデュランデュランとかカルチャークラブとかリックスプリングフィールドとか吉川晃司が好きだったのでバンドが出来るなら音楽性なんてどうでもいい、それよりもエレキギターでコードをガツーンと弾きたい。その夜、また母親に懇願したが当然ダメだったのだがその夜は奇跡の夜だったのだ。俺の家の隣に住んでいた親父の友人の弟さんが俺の家に来て酒を飲んでいた。その当時で30歳くらいのその人が洋はエレキギターが欲しいのか?と言ってきたのでうん!!と答えると俺の会社に誰も使ってない古いエレキギターがあるけどそれでもいいか?と聞いてきたのでもちろん!!本当??と言うと明日持ってきてやると言い帰っていった。俺はもう全然眠れず早く明日の夜になれ早く早く。次の日、親友にその事を伝えるとそいつも同じように喜んでくれた。二人で興奮して授業をサボって学校の屋上でバンドの話をした。そいつはもう一人ギターが要るなとか誰か持ってる奴いるかな?とかルックスのいい奴がいいなとかドラムは誰がいいかとかとにかく楽しかった、そしてその夜が待ち遠しかった。で、その夜、まだかまだかと待っているとチャイムが鳴った!!来たか!!やって来た、我が家にエレキギターがやってきたのだ!!俺は隣のおじさんに本当に感謝した。エレキギターが俺の手に!!そのギターは少々ボロかったがそんな事は関係無い。なんてたってエレキギターだ!!当時は解らなかったがハニーという国産メーカーの黒いリッケンバッカーのコピーモデルだ。何てタイミングがいいんだろう。エレキギターなのに穴が空いてるのが理解出来なかったがその夜はコードブックを見ながらずーっと練習していた。何かが確実に変わった夜だった。疲れたので続きはまた今度。