作業の合間に。

ダビング、宛名書き、梱包、発送、カート管理やら諸々やっている最中だけど、休憩中に今回のカセットシングルのレコーディングから今に至るまで簡単に書こうかと。

 

レコーディングは一年以上前で、その間はミックスをしていた。毎日、何時間もやっていた訳では無く週に二度くらいで数時間かな。

それでも、直ぐに煮詰まり、あれやこれやとやっていたけども決め手に欠けていた。

レコーディング自体はセッティング込みで数時間。十曲録った。音も狙って録ったけども狭いスタジオで狙ったところで、全て狙い通りにはいかない。

カセットMTRも何十年ぶりなので難しかったけども生々しく録れたし、その時はレベルを揃えるだけで良いのでは?と思っていた。

ただ、締め切りの無いミックス初期は必ず過剰な方向へ向かいがちで案の定ブーストとオーバーリミッターに依存し過ぎになる。まあ、それは俺だけだろうけど。

進めていくうちにこれで良いのでは?と思えるくらいになりVOL.1だけ完成させ販売を始めた。

他の曲のミックスを始めていくとどうもおかしい事に気が付ていてきた。特にVOL.4のミックスをやっていた時だ。

イントロのリードが全く抜けない。歪み過ぎ潰れすぎている。ここに気が付くまでかなり時間がかかった。

レコーディング、ミックスも数年ぶりだし現メンバーでのレコーディングは初だ。

入院、退院後はそれより前の記憶、以降の数年間の記憶が曖昧で脳が完全にリセットされた状態だった事もあるかもしれない。

話を戻すと気付いた後からも試行錯誤していた。設定をバラし素の状態から4トラック全体と1トラックずつ確認していきミックスしていたけど、混ぜるとどうしても余計な音が多い。その時点でもトータルリミッターはかけていて、リミッターの設定をしていたり、要するにかけ具合の調節をしていた。

それでも決まらない。焦った。ヤバい、仕上がらないかもとも思った。

その時点で年越ししていて繰り返しカセットのマスターを自宅に持ち帰り確認しまた繰り返しで全く納得がいかない状態だった。

そこでリミッターを外そうとようやく気付いた。遅すぎたが使用が無い。かつて使っていたリミッターは高級機種で潰しても原音がしっかり残りつつ潰れていたので、今使っているリミッターとは全く別物。とは言えそんなに安い物でも無いんだけど。

トータルリミッターを外してから考え方を真逆にした。とにかく1トラックの中の音を削っていく方向にしていった。

スタジオライブレコーディングでパーテーションを使用しなかったから被りが凄い。だけどそれを生かす方向にしたかった。生かしつつ削っていく。矛盾しているがその作業を続けていった。

削ると言ってもミキサー付属のイコライザーなので滲むしスッパリ切れる訳でも無い。

ドラム、ベースには欠かせない中低域や低域を削っていきギターの中低域、低域も削っていった。

もちろん各トラック削るだけでは無く必要な帯域のブーストはしつつ過剰にならないようにしていった。ボーカルトラックだけ歪ませて過剰にした。

少しずつまとまりつつあったけど今度は全体の入力レベルの問題にぶち当たる。カセットMTRからマスターカセットデッキの入力レベルで全く音質が変わる。当たり前だけど忘れていた感覚だ。中高生の頃は当たり前にやっていた事で懐かしさもあったけど今とはなっては忘れていた事。もちろんオープンのテープでも同じだけどカセットとオープンテープではテープ幅が全く違うし性能面でも別物。だったらオープンテープを使えばいいじゃないかと思うかもしれないが今回のリリースにあたって決めていた事は全ての工程をカセットテープのみで行うという事だったので、それだけは譲れない。聴く人にはどうでもいい事かもしれない。だけどそういう細かな事が微に入り細に入り伝わると思う。少なくともそう信じている。

で、入力レベルだがプラス3デシベル行くか行かないか位が丁度良いというか全体のコンプレッションもいい感じだったので、ようやく決まった。

後は曲ごとに微調整していくんだけどもこれも当たり前で使うコードによってボーカルが抜けなかったり諸々と出てくる。リミッターはドラムとベースにほんの少しかけた程度でギターはイコライザーのみ。ボーカルはミキサーのゲインで歪ませるとチリチリして良くないので安い真空管のプリアンプをインサートして歪ませた。

全体としてはかなり粗いサウンド、粗すぎるサウンドだと思う。低能、下品、下劣なサウンドになったと思う。携帯電話でもこれ以上のサウンドで録れるかもしれないが、拘りに拘った。今、俺がもっとも燃えるパンクサウンドに仕上がったと思っている。

70年代のカルトパンクバンドよりも粗いサウンドだろう。まあ、一般的では無いんで好みは分かれるだろうけど。お手本にしていたサウンドはオーストラリアのRAZARファーストシングル、PVCの初期デモのサウンド。これだけ一つの音源に向き合った音源は今まで無い。