始めて10年弱経って気づいた事が幾つかある。最初は一人で全ての事をやってライブは二の次三の次でいいやと思っていた。何回かエレキギターだけでライブをやったし、CDRのカラオケに合わせてギターを弾いて歌ったりもした。まあ、あんまり面白くは無いね。バンドなんて要らないと思っていたし、録音主体でいいとも思っていたからね。そのうち、やっぱりバンド編成でやりたくなってきたから以前から一緒にやりたいと思っていた松岡を誘った。ベースはBACK TO BASICSのアベさんだった。凄く楽しかったね。松岡のドラムはカッコいいしアベさんも勘が良くて凄いいいベースだしね。半年くらいでアベさんは辞めてしまったけど、今でも本当に感謝している。その後はタムラにベースを頼んで三人編成でやっていくつもりだったしタムラもそのつもりだっただろう。まあ、諸々と有ってジョニィさんが入って約二年くらいやったかな。もちろん楽しかったし曲も沢山出来た。ライブはあまりやらなかったけど充実してた。3rdアルバムは今でもなかなか良いと思っている。でもミックスしていた時にフッと気がついた事があってね。それは自分のギターパートを引っ込めてるというかプレイやミキシングで遠慮をしているなと思った。それはそれでいいんだけど、元々はベースは鳴ってればいい、ドラムも聴こえてればいい、自分の歌やギターを全面に出すという最初のコンセプトとは大分違ってきて違和感を感じてきたのも事実だった。皆、凄く良くやってくれていたし、キャリアもあるから飲み込みも早い。あっという間に曲も完成する。いい事尽くめのはずなのに何か違う。要するに俺のわがままなんだけどわがまま放題やる事が最初の目的だったからそう感じたんだろう。確かに皆、出来る限り曲に合わせてくれていたしね。ただ、キャリアが長い人にはなかなか注文は出しづらい。やっぱり何処かに遠慮が出てしまってた。まあ、今思うとなんだけど。そんな感じで4枚目を作ったんだけど、これは完全に俺のミスがあった。オープンリールの録音だったからレコーダーのオペレートを人に頼んでしまった事によって入力レベルが大き過ぎて殆どの楽器の音が潰れて歪んでしまった。だけど今考えるとミックスでやりようがあった。俺のギターを全面に出してもう一方のギターパートを抜き差ししていればもう少しマシになってたかもしれない。気がつかなかった。そこでも遠慮が出たんだな。それでマサを入れて三人編成になった。マサは華がある。プレイも音も独特でマサにしか出来ない事をやるプレイヤーだ。それで5枚目なんだけど、あの時点ではそこそこ出来たと思っている。100%ではないけど、もの凄く急ピッチで進めていたし、俺自身も慣れない仕事や心身の調子の悪さの中でよくやったと思う。ライブもあったしね。そこでまた気づく事があってマサのベースはもの凄く動くし低音が凄い。それはマサのスタイルでもあるし俺も理解していたつもりだった。ただ、ライブの動画を見て聴いてみると低音で全ての音がマスキングされてしまっていてなんだかもったいないなと思ってた。そこでも遠慮が出てくる。ランニングベースはカッコいいんだけど、歌の音程が取りづらい。自分のギターとドラムをモニターしながらじゃないと全く歌えないんだよね。まあ、俺に技術が無いだけなんだけどね。低音のコントロールはもの凄く難しくてマサのベース主体でアレンジをしないと全体で良くならないのではと感じていた。ベースでもギターでも同じなんだけどアンプで音を出す時には前方だけではなく後方からも音が出る。それが振動になって全体が共鳴していくんだけどそこが難しい。幸いドラムが3点なんで余計な共鳴、共振は少ないんだけどそれでも難しい。マサ自身も俺の音楽と自分の音楽との溝があったんだと思う。カズヒロに手伝ってもらいながら色々と考えたね。俺自身、何をどうしたいか?自問自答してた。やっぱり自分のギターが全面に出ていて歌も出ていてドラムがあってベースがある。タイトでソリッドなサウンドが理想だと痛感した。マサが辞めて本間が入った時に思ったのはそこだったね。タイトでソリッド、下品なカッティングギターリフでタイトなドラム、シンプルなベースのルート奏法。基本中の基本なんだけどそれがやりたかったんだなと今更ながら思う。そういえば今までそういったタイプのベーシストとやった事が無かったし新鮮だね。今もポツポツと曲が出来ているし昔の曲もやっている。他のメンバーも楽しんでくれているようだし俺も楽しい。50手前でやる音楽じゃないとも思うけどやっていけば何とかなるだろう。最近はフィジカルが大切だなと思うし、積み重ねていかないと多層的、重層的、多角的になっていかない。幸い俺には沢山の曲がある。これは俺の強みだろう。シンプルにしていくだけじゃなく密度を高めていく事がこtrからの課題でそれ以外はどうでもいい。まあ、今のところはそんな所かな。